プロトコルについて
CHAdeMOは6kWから200kWの出力で電気自動車を充電することが可能な急速充電プロトコルです。350-400kWも準備を行いました。
CHAdeMOの4つの原則は以下の通りです。
安全設計
いかなる条件下でも安全に使用できるように、充電器の仕様設計には厳重なガイドラインを設けています。
将来の保証
双方向の電力移動が可能なので、スマートグリッドにも対応しています。局部での利用や充電以外の利用もできます。
適用の簡易さ
全てのEVで車載用通信ネットワークとして使用されている信頼性の高いCAN通信を採用しています。
均一性
CHAdeMOの充電コネクタは世界共通の独立型プラグで、AC充電口に左右されません。EV製造過程のコスト削減および国境を越えたEVでの移動を実現します。
規格開発のこれまでと今後について
標準仕様書の改訂履歴
CHAdeMOの標準仕様書は2010年4月に現状の急速充電器の基本を定めた初版の仕様書 ver.0.9が発行された後,さまざまな機能拡張をおこなってきました。仕様書は準拠するべき技術・安全要件を規定しますが,実装方法は製作者の責任です。たとえば今後,大出力化に伴い冷却機能付きケーブルの導入が予想されます。このような場合,仕様書では温度上昇の上限値が規定されますが冷媒の選択や冷却方法には制約はありません。
- ver.1.0(2012年1月)電源品質規定(EMC・電流リップル),車両保護機能(過電圧保護・熔着診断)を追加
- V2Hガイドライン(2013年11月)双方向給電機能を拡張
- ver.1.1(2015年11月)ダイナミックコントロール機能追加,互換性に関する詳細規定を追加
- ver.1.2(2017年3月)最大電流を400Aに拡張,マルチアウトレット構成を規定
- ver.2.0(2018年5月)最大電圧を1000Vに拡張,プラグ&チャージオプションを規定
- ver.3.0(プロジェクト名 ChaoJi): 中国電力企業連合会(CEC)と超高速の次世代充電規格を共同開発中
- 二輪車・小型車両用新規格:従来より低い電圧範囲で小型軽量化した新コネクタの規格を開発中
バージョン間の互換性確保
- CHAdeMOは10年にわたり多くの機能追加・拡張を行ってきましたが,すべての車両・充電器の間で運用互換性が確保されています。これは,改訂された仕様で設計された充電器は旧バージョンのプロトコルも実装することを仕様書で義務づけており,それを検定で確認する取り組みを当初から行っているためです。
主な設計思想
バッテリー保護
電流は車両ECUによって制御されています。急速充電器は、CAN通信によってEVからリアルタイムで受ける指令値に従って電流値を調整することで、電池性能と使用環境に応じた最適・最速の充電が可能になります。CHAdeMOでは、この制御方式を一層安全に実現するため、充電器側の追従性能、電流リップル、電圧リップル、電流・電圧の計測精度を規定しています。
感電保護
- 充電器内部に絶縁変圧器を設けて入力側の交流系統と出力側の直流系統を分離し、出力側を非接地系としています。これにより、充電ケーブル内にある直流給電線のいずれか一方が地絡する故障が発生しても感電災害を防止することができます。
- DC側にも1次側と同様,地絡検出器を組み込んでおり,地絡電流を検出すると充電器への入力電源を即時遮断します。地絡検出と即時遮断と組み合わせることで、IEC60479-1に規定されているDC-2ゾーン内での感電保護を実現しています。
充電制御の安全装置
- 充電中は、車両側・充電器側双方で異常を監視しています。また、車両側が異常を検知した場合にはそれを充電器側に伝える伝達経路として2つの通信手段(CAN信号とPilot信号)が備えられています。これにより、ひとつの通信手段に不具合が生じても、確実に充電を停止させることができます。
- 連結器が脱落した際に接地線やパイロットが断線すると、各Pilot信号がOFFとなり、充電器が出力を即時停止します。したがって、充電によるアークが継続することはありません。
コネクタのインターロック
- EVコンタクタの制御電源は充電器が供給するため,コネクタを車両に接続しない限りEVコンタクタがONになることはなく,EV充電口に電圧がかかりません。これにより誤って充電部に触るような事故を防止します。
- 充電開始前に毎回絶縁試験を行い,充電器からEVコンタクタまでの回路絶縁および短絡をチェックします。これにより万が一ケーブルなどで絶縁劣化が生じても事故を未然に防止します。
- 充電中は充電コネクタをラッチで車両EV充電口に機械的に固定するとともに,その固定状態を電気的にロックします。また,充電終了時には充電コネクタの電圧を必ず確認した上で電気的ロックを解除します。EV充電口の電圧が安全なレベルまで低下しない場合には、感電防止のため自動的にロック解除を行うことを禁止しています。